【疾患】 喘息

喘息は突然咳き込み、呼吸が苦しくなり、のどがゼーゼー、ヒューヒューと音を発する症状の病気です。
その根本原因は、生まれつきの素質と、体内にある痰濁(気管、体内にたまった粘液。水→湿→痰)であり、これが外からの邪を受けたり、飲食の不摂生などによって誘発されたものです。
喘息は多くは幼少のころから始まり、その後風邪にかかったり、気候の変化、疲労、飲食や生活の不摂生などの誘因によって発作が起こり、数年から数十年もの長い間なかなか完治しないものです。
喘息の発作がひどい時には、口を大きくあけて肩で息をし、動悸が激しくなり、冷や汗をかき、顔色は青ざめ、不安にかられます。
発作は数分間から数時間続きます。
喘息の緩解期には、軽い咳、痰、呼吸緊迫感などがありますが、他の症状はなにもありません。喘息の発作は、季節と関係があり、一般に初冬や冬季が最も多く、春、秋がこれに次ぎ、夏には緩解します。
また、喘息は生まれつきの体質と関係があります。現代医学の治療では、気管支拡張剤で狭くなった気管を拡張するとともに、分泌物を増加させ、全体の体力を補う意味で点滴して、発作をコントロールするというのが一般的治療法です。
痰が気管を塞いで狭くなるので、種々の気管支拡張剤を用います。ひどい場合には、よく副腎皮質ホルモンが用いられます。

● 漢方からみた喘息

漢方では、気管を塞いで狭くしている痰を取り除くのが主であり、寒に属するものと熱に属するものに別けて治療します。
寒(冷え)の人は、身体の内外みな寒で、呼吸が切迫し、のどは水鳥の鳴くような声がし、咳とともに薄い痰を吐き、横になることも出来ず、胸がはって塞がったようで、顔は青白く、背中が冷え、咳痰は薄く白っぽく泡状を呈し、口渇はありません。
熱に属する人は、熱があり、頭痛がし、汗が出て、呼吸がせわしくなり、胸が張り、のどが゙ゼーゼー、ヒューヒューとのこぎりを引くように鳴り、横になることも出来ず、痰は粘って濃く、色は黄色で、なかなか吐き出せなく、不安になり、顔は赤く、口渇してよく水を飲み、便秘がちです。
寒に属するものは、風邪にかかったり、生冷のものを食べたり、または突然の気候の変化などによって、前々から体内にある痰が誘い出されて上にあがり気管を塞ぎ、発作を起すのです。
熱に属するものは、おいしい栄養価のあるものを食べ過ぎたり、熱っぽい体質の人に多く、痰が煮つまって気管を塞ぎ、肺(肺の働きは、呼吸作用と、皮膚からの水分の発散、下にものを押し下げる力)の下降の作用がなくなって、呼吸困難、咳喘などが起こります。
発作時の治療としては、寒熱ともに根本的原因である痰を取り除くことが最重要課題になります。
寒に属するものは、肺の働きをよくし、寒を散らし、痰を取り除いて喘息を静めます。
熱に属するものは、肺の働きをよくし、熱をさまし、滞った気の流れをよくし、痰を取り除きます。
緩解期には、体の弱いところを補い、体質の強化をはからなければなりません。喘息は頑固で治りにくく、経過が長く、反復発作を繰り返す根の深い病気で、早期に全治するのはなかなか難しいものです。発作時にはその発作をコントロールし、また発作が起こらない平時は体力、抵抗力の増強が大切です。
そのためには、発作が起こっていない平時に漢方薬の服用を続けることが大事で、そのことによって発作の回数を減らし、次第に根治することが出来るようになります。
発作時にあわてて対処するのではなくて、発作を起さない体質(痰を生じさせない、下に押し下げる肺の機能の増強)を作ることが一番大事です。

喘息は、気候の突然の変化、特に寒冷な空気の刺激によって誘発されることが多いので、患者は風邪に注意し、日常は適度の運動や冷水摩擦、水泳などによって体を鍛え、寒冷の刺激になれさせることが大事です。
また、飲食物はあっさりしたものがよく、酒、肉などの栄養価の高いものは慎むべきです。
特に煙草はよくありません。


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