陰部掻痒は一種の症状であり、その特徴は外陰部または膣内の極度の痒みであり、ある時は肛門の周囲にまで及ぶことがある。
全身性と局部性のものがあるが、臨床上一般に多見されるものとしては、トリコモナス性、真菌性、老人性などがある。
現代医学では、局部性と全身性の二種類に分けている。
漢方では、湿熱下注と肝腎陰虚に分けて考える。
婦女が50歳前後になると、卵巣機能が衰えて月経は止まってしまう。《内経》に「七七任脈虚し、太衝脈衰少し、天癸竭す・・・」(49歳前後になると衝任二脈が衰え月経は閉止する)とある。
絶経前後にあっては月経の異常が起こり、たとえば経期は不規則になり、また出血量などの変化が見られる。同時に種々の内分泌異常の症状、たとえば潮熱、汗出、動悸、頭暈、不眠、疲乏、浮腫、易怒、煩躁、口干咽燥、食欲不振、手足心熱、腰酸背痛、精神疲労、情緒不安定、耳鳴、健忘、皮膚の異常感覚、高血圧などの症状を伴う。
このような症状は数ヶ月、長いときには1〜3年にも及び、婦女の身体や精神に多大の影響を及ぼす。
多くの場合は、その時期が過ぎると自然に緩解するものだが、一部の人は症状がひどく、生活や仕事に差し支えるようになり治療が必要となる。
漢方では、腎気が衰え、衝任二脈が虚損し、精血が不足し、臓腑機能の失調、つまり身体の陰陽の平衡が失調して起こると考えられている。
臨床上は心、肝、腎、脾の諸臓虚損の症候であるが、その根本となるものは腎虚である。腎虚の中でも腎陰虚、腎陽虚、腎陰陽両虚の症に分かれている。
主症: | 頭暈耳鳴、腰膝酸軟、潮熱、汗出、五心煩熱、顔頬紅、皮膚乾燥 or 掻痒、口干便秘、小便短赤、月経前期 or 不定期、経色鮮紅、量多 or 少、舌紅少苔。 |
肝腎陰虚、腎虚肝旺
腎陰虚で肝木を涵養することができず、あるいは情志抑鬱し、鬱結して熱と化し、真陰を灼煉し、肝腎陰虚、肝陽上亢となる。この場合は、腎陰虚の証候のほか煩躁易怒、脇痛、口苦、不眠多夢、高血圧、舌紅苔薄で干などが現れる。
心腎不交
腎陰虚になると上って心火を済けることができず、心腎不交の動悸心痛、不眠多夢、健忘、精神異常、精神抑鬱、舌紅で干の症状が現れる。
主証: | 顔色黒ずむ、精神的疲労、身寒肢冷、腰膝酸軟、納呆、腹脹、大便溏薄、経量多、崩漏、色淡、血塊、四肢浮腫、夜尿多 or 尿頻失禁、帯下清稀、舌淡胖嫩、歯印、苔薄白。 |
腎陰陽両虚
腎陰、腎陽不足の象が夾雑して現れる。ある時は寒がったり、ある時は潮熱汗出したり、虚煩少寝、頭暈耳鳴、腰酸乏力、両足不温、舌淡苔薄。