大・小便では色、回数、臭い、形状などの変化に注意することが大切である。
便秘の原因としては次の四つが考えられる。
腸胃積熱
元来体質が陽盛や、過度の飲酒、辛いものや肉類の過食などによって、余熱が留滞したり、肺の燥熱が大腸に移ったりして、腸胃積熱になり、津液を消耗し、大腸に水分が少なくなって燥結し熱秘となる。
気滞
過度の憂慮、座ってばかりいてあまり動かない、手術後の腸の癒着などによって、肺気が不降になれば、大腸に気滞を起こし、伝導作用が失調し、大便が内停して気秘となる。
気血陰津虚損
病後や産後、老人体虚の人は、多くは気血虚損であり、陰津の損耗、過度の仕事、出汗過多などにより、気血陰精を損耗したり、また糖尿病を患ったりして陰津を損耗する。その結果、気虚して大腸は伝導の力がなくなり、あるいは陰血が虚損して大腸は干渋し、いずれもこの場合は虚秘となる。
陰寒凝滞
日常生冷のものを過食したりすると陽気を損傷し、また年で体が弱いものは、真陽不足になり易い。脾腎陽虚になると大腸を温潤できなくなり、陰寒が内結して大腸に凝積し、大便を下行させることができず冷秘となる。
臓腑の面から見れば、便秘は主に肺、脾、腎と関係が最も密接である。肺と大腸とは表裏をなしており、肺の燥熱が大腸に移り、大腸が伝導作用を失調すると便秘になる。
脾は運化を主っているので、脾虚になって運化が失調すると、糟粕が内停して便秘を起こす。腎は二便を司っており、腎と大・小便との関係は密接である。腎精(腎陰)が虚損して大腸が干渋になると便秘を起こす。また腎陽が不足し命門の火が衰えると、陰寒が凝結し、伝導を失調して便秘を起こす。
要するに、便秘とは大腸の伝導作用の失調であるが、他の臓腑の機能とも密接な関係をもっている。また一概に便秘といっても、実秘と虚秘があることにも気をつけなければならない。
腸胃積熱 | 熱秘 | 実証 |
情志不和、久座少動 | 気秘 | 実証 |
冷秘 腎陽虚、陰寒内生 | 虚証 | |
大腸干渋 | 血虚津枯(陰虚) 腎陰不足、陰血不足 | 虚証 |
肛門熱、水様便に塊が交じる | 実熱 熱結旁流 | |
裏急後重、便後気持ちよい | 実 |
私たちは現在、痢疾、泄瀉を全部一括して下痢の範囲の中に入れているが、痢と泄と瀉は大いに異なる。
痢とは、大便の回数が多くなり、腹痛切迫し、大便を排出してもすっきりせず、肛門が落ち込む感じで、膿血便を下すのが特徴である。主に湿熱や細菌、ウィルスの外侵によって起こり、また精神因素や不潔なものが腸中に積滞し、大腸の伝導機能が失調しても起こる。
現代医学の急・慢性細菌性下痢、急・慢性アメーバ赤痢、慢性非特異性潰瘍性大腸炎、慢性結腸炎、過敏性結腸炎などの多くの疾患に見られる。
泄とは軟便で薄いもの、瀉とは水様性便をいい、一般に臨床上大便の回数が多く、軟便で薄く、あるいは消化不良便で、ひどい時には水様性便が下ることを一緒にして泄瀉といっている。主に湿盛と脾胃機能の失調により、水分と取り入れられた食物の精微が混ざり合って大腸を下ってなる。
大便稀薄、泄瀉、下痢の病因としては色々あるが、次にそれらについて述べる。
外邪の感受
外邪には暑、湿、寒、熱、疫毒と種々あるが、泄瀉では湿邪によるものが多く、痢疾では湿熱、疫毒の内犯が多い。また霍乱では暑湿と寒湿疫毒(細菌)の感受によるものである。外邪の侵入によって脾、胃、腸に損傷を与えたものである。
飲食による損傷
暴飲暴食、生冷不潔なものの摂取、厚味酒類などの過食によって脾胃腸を損傷する。
精神失調
この場合は五行の相克関係、つまり木、横逆して土を克す(肝旺脾弱)、木、土を疏せず(肝気鬱結)など脾胃に肝がからむことが多い。
脾胃虚弱
脾は運化を主り、胃は受納を主る。脾胃が虚弱になれば胃は水谷を受納できなくなり、脾は精微を運化できなくなり、水は反って湿となり、谷は反って滞となり、湿滞内停し、清濁を分離できなくなり混ざり合って下る。
命門火衰
脾の陽気と腎中の真陽とは密接な関係があり、命門の火は脾胃での水谷の腐熟を助け、腸胃の消化吸収を助ける。体虚、久病では腎陽を損傷し、腎陽が衰えて命火が不足すれば、脾土を温煦することができなくなって運化が失調し、泄瀉や痢疾をひき起こす。
総じて言えば、泄瀉や痢疾の病変は脾胃と大・小腸にあり、脾虚湿盛、疫毒気血壅滞が主な因素である。外因と湿邪との関係は最も密接であり、湿邪が侵入すると脾胃が損傷を受け、運化が失調する。内因と脾虚の関係も密接であり、脾虚になって健運を失すると、水谷、精微は化せず、湿濁が内生し、混ざり合って下る。
痢疾は上述の種々の原因によって起こるが、病位は腸にあり、病機は湿滞の邪となり、気血相い搏って腸中で交阻し、久しくなければ脾を損傷し、ひいては腎までも傷つけ精血を傷耗する。
腹痛、腸鳴 | 寒湿 急瀉、脾胃昇降失調 | 実証 |
瀉下急迫、瀉後不快、煩熱口渇 | 湿熱 急瀉、湿熱下注 | 実証 |
腹痛、腸鳴、大便臭 | 傷食(暴飲暴食) | 実証 |
瀉後痛減、げっぷ酸臭 | 宿食内停 腸胃阻滞、濁気上逆、消化不良、急瀉 | 実証 |
反復、久病、消化不良、食欲減、顔色黄色っぽい、疲労 | 脾気虚弱 運化失調、久瀉 | 虚証 |
明け方、瀉後楽になる | 腎陽虚衰→脾陽虚 久瀉 | 虚証 |
身体痩、腸鳴、大便泡状、嘔吐水飲 | 水飲留腸 久瀉 | 実証 |
泄瀉、日久、瀉後便不尽の感腹部刺痛、顔色黒ずむ | 淤血 久瀉 | 実証 |
慢性非特異性潰瘍性大腸炎の発病原因は免疫、感染、過敏など多くの見方があるが、現在に至るもはっきりした結論は得ていない。病変部位は結腸粘膜の充血、浮腫、出血及び大小の潰瘍である。
主な症状としては、腹痛、一日数回から数十回の下痢、裏急後重、膿や粘液性血便が見られ、病の進行は遅く、病状にも軽重があり、反復発症することが多い。
現代医学ではステロイド剤、保留浣腸、免疫抑制剤などで対応処置しているが、根本的治癒はなかなか難しい。現在では、免疫失調が病因として考えられている。
病因としては次の三つが考えられている。
大体漢方では次のような類型が考えられる。