人体の陰陽の変化と治療原則

1.正常人体(図A−5)

陰と陽との関係は平衡を保っていて、どちらも水平線上にあり相対的に偏盛偏衰はない。健康である。

図A−5

2.陽盛(図A−6)

陽が旺んになっているがまだ陰には影響しなくて、陰は正常である。

治療原則 この場合は実証、熱証であるので、偏盛の水平線から上の陽を図の矢印のように直接折って除去してやる。
主要証候 人体の機能が旺んで、熱象が強く、無汗、いらいら、口乾などの証候が現われる。

図A−6

3.陰盛(図A−7)

陰が旺んになっているがまだ陽に影響を与えていない状況。実証で寒証。陽に影響を与えるほど陰盛はひどくない。

治療原則有余の水平線より上の陰を直接取り除く。
主要証候寒象で水分の停留がある。

図A−7

4.陽虚(図A−8)

陽が水平線より下の方に落ち込んでいるが、まだ一方の陰の異常は起こしていない。必ずしも病態とはいえない。陽虚の体質や病後の回復期にあらわれる。

治療原則温めて不足を補う。
主要証候 寒がり、自汗、身体倦怠、顔色淡白、感冒にかかり易い、食少、小便清長。
陽の落ち込みがひどくなると病になり、冷えが強くなり、大便の泥状、下痢が出てくる。

図A−8

5.陰虚(図A−9)

陰虚はひどくなくまだ陽の方にまで影響を及ぼしていない。必ずしも病態とはいえない。陰虚の体質や病後の回復期にみられる。陰の落ち込みがひどくなると疾病となる。

治療原則不足の陰を滋補する。
主要証候 ねあせ、いらいら、口舌皮膚乾燥、目乾渋、耳鳴、大便燥結、小便短赤、軽い虚性亢奮、ほてりなど。

図A−9

6.陽盛陰虚(図A−10)

陽熱の亢盛があって、二次的に陰の傷耗が出現する。

治療原則 清熱しのぼせを下し、有余の陽を除去し、片一方の陰の傷耗を補給する。
主要証候 胃腸に熱が結して、腹痛便秘するなど。

図A−10

7.陰盛陽虚(図A−11)

陰の亢盛によって、二次的に陽に影響して陽虚になる。体液(水分)の循環障害あるいは病理産物により、陰が過大亢盛して、その結果陽虚をひき起こす。

治療原則 化飲、利水、利湿、逐水(水を追い払い除去する)して陰の有余を除去し、温化して陽の気化を助ける。
水湿の内停。
主要証候 水腫、下痢、身重、小便不利、寒け、肢冷、ひどい場合は痰飲を生じ、動悸、めまい、咳、胸助脹満など。

図A−11

8.陽虚陰盛(図A−12)

機能の低下、つまり陽虚となり相対的に陰の方に影響し、陰が水平線を超えて陰盛になったもの。

治療原則虚した陽を補って陰盛を消除する。
主要証候 下痢、浮腫、痰飲、寒け、四肢冷、食少、嘔吐、舌淡、苔白。

図A−12

9.陰虚陽亢(図A−13)

陰虚が更に進んでひどくなり、同時に陽の亢盛をひき起こしたもの。精血や津液の虚損がひどくなり、陽が制約されなくなって亢盛したもの。

治療原則 滋陰潜陽(不足の陰を補ってうるおし、水平線から上に出た虚陽を引っ込める)する。
主要証候 ほてり、めまい、盗汗、遺精、易怒、消痩、不眠、頬紅、咽乾、舌燥など。

図A−13

10.陰陽両虚(図A−14)

陰損陽衰。陰陽両方とも虚。大病後の回復期あるいは慢性病末期。

治療原則 気(陽)、血(陰)両方を補益する。
主要証候 身体精神倦怠、食欲減退、声低い、顔色悪い、不眠、盗汗、月経不順、舌唇淡白。

図A−14


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