1、目的と方法
目的:前立腺組織の顕微鏡検査により、前立腺癌の確定診断を行います。
方法:
(1) 下図のように肛門から棒状の探触子を挿入し、超音波で前立腺を見ながら直腸の壁を通して直径1mm位の針を刺し、前立腺の組織片をとります。
(2) 基本的には外来通院で麻酔無しに6ヶ所生検しますが、もっと詳しく10ヶ所以上の生検が必要な場合は、短期入院で仙骨硬膜外麻酔をして行います。
2、予期される効果
(1) 前立腺癌と診断されたら、次に癌の拡がりを検査して治療法を検討します。
(2) 前立腺癌が証明されなかった場合は、通常、PSA検査で経過をみて、必要に応じてまた生検をお薦めすることがあります。
3、生検を行わなかった場合
確定診断ができませんので、前立腺癌の疑いのまま経過をみることになります。
4、所要時間
通常20分位です。
5、生検に代わる検査法の有無
確定診断には組織学的検査(顕微鏡検査)が必要ですから、他に代わる方法はありません。
6、予期される合併症とその予防
(1) 不快感、痛み
麻酔なしで行う場合、探触子を肛門から挿入する不快感があります。針を刺すときには一瞬痛みがあります。
(2) 血尿、直腸からの出血
たいてい2〜3日で治まってきますが、抗凝固剤を服用していると大出血の危険があります。抗凝固剤は、血を固まりにくくする薬で、狭心症や脳梗塞の治療や予防によく処方されています。 このような薬は検査前5〜7日間は止めておく必要がありますので、抗凝固剤を服用している方、あるいは自分の服用している薬の内容がよくわからない方は、必ずおっしゃってください。
(3) 急性前立腺炎
検査後1〜2日後におこることがあります。症状は排尿困難、頻尿、排尿痛、高熱などです。
急性前立腺炎は細菌感染によっておこります。この合併症を防ぐため、検査前日に下剤の服用、当日朝坐薬の使用、検査後抗生物質の注射、さらにその後3〜5日間抗菌剤の内服を行います。
(4) 以上のような処置をしても、まれに合併症は起こることがありますので、この点をご了解の上、検査を受けるかどうか決定してください。
7、入院生検時の仙骨硬膜外麻酔
うつ伏せまたは横向きに寝た状態で、尾骨の上の骨の間から麻酔の注射をします。10〜20分して麻酔が効くと、お尻の周辺の痛みをあまり感じなくなります。まれに、注射剤によるアレルギーや血圧低下がおこることがあります。
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