骨盤底筋膜群温存法による前立腺全摘手術
  <前立腺全摘後の勃起機能の保持、尿失禁の軽減で好成績を上げています>

 前立腺全摘手術は早期前立腺癌の有効な治療法の一つです。しかしながら手術後の尿失禁、勃起機能の喪失は手術をためらう理由の一つになっているのではないかと思われます。

 埼玉県立がんセンターでは尿道周辺の構造を壊さないように丁寧に処理する独自の前立腺全摘手術(骨盤底筋膜温存法)を行っており手術後の勃起機能の保持、失禁の軽減に成果を上げています。

勃起機能:
 勃起機能の喪失を避けるためには前立腺の脇を走る神経を残す必用があります。従来の方法では両側の神経を残しても十分な勃起が得られるのは50〜60%とされてきました。癌の状況によっては片側の神経を切除せざるをえないことがありますがその場合の勃起機能の温存率は25%程度とされています。
 埼玉県立癌センターで行っている前立腺全摘術では 両側神経温存はもとより片側の温存でも従来より良好な勃起機能の回復が得られています。

尿失禁:
 従来の前立腺癌根治手術ではほとんどの場合手術後数ヶ月は失禁が続き、日常生活に支障が出る場合もありました。
 埼玉県立がんセンターでは手術直後の失禁量は大幅に軽減しており、中にはほとんどゼロに近い患者さんもいらっしゃいます。

Department of Urology, Saitama Cancer Center